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フィラリア症

どういう病気?
簡単に言うと心臓に虫がわく病気です。フィラリアは「犬糸状虫」と言うように糸のように細い寄生虫です。この虫が心臓に寄生すると,主に循環器系の症状を起こします。たとえば、咳がでたり、痩せてきたり、腹水がたまってお腹が膨れて見えたりもします。また運動を嫌がるようになったり、食欲が落ちたりもします。

この病気の怖いところは心臓に寄生するというところにあります。同じ線虫類でも腸内に寄生するもの(回虫、鉤虫、鞭虫など)は駆虫薬を飲ませれば糞便中に排泄されますが、フィラリアは心臓内に寄生しているため、ここで殺すと血管内に詰まって大きな障害を招くことがあります。ですから、この寄生虫が心臓に入らない様に予防が重要な意味を持っているのです。


感染経路
フィラリアは必ず蚊を媒体として感染が成立します。フィラリアに感染し、子虫が存在する犬の血を蚊が吸い上げます。この蚊の体内で子虫は何度か脱皮をして、蚊の唾液腺の中に入り感染の機会をうかがいます。この蚊が別の犬を吸血するときに出来る穴から、この子虫が進入し、筋肉や脂肪組織を通り心臓に到達します。雌雄のフィラリアが揃うと繁殖をし、血液中に子虫を放出します。フィラリアの予防は蚊の発生時期と密接な関係があります。ただ予防薬という名前の割に、蚊が発生してからしばらくして投薬が始まり、蚊がいなくなってもしばらく続けるという。

予防方法は?
関東地方では6月から12月までの7ヶ月間。予防薬の投与が必要です。予防薬は錠剤、チュワブル(肉状の与えやすいもの)、粉末、注射、滴下式と様々なものがあります。その特徴を知り自分のスタイルに合ったものを選択されるとよいでしょう。詳しくはご相談ください。

治療方法は?
投薬による方法や、外科的に摘出する方法があります。いずれもリスクが高いので,この治療方法の選択は注意深く行う必要があります。

フィラリア症の予防薬

フィラリア症の予防薬は様々なタイプが用意されています。どの薬がどの様な特徴があるのかよく知り、自分のスタイルに合ったものを選択するとよいでしょう。

薬の種類

1. 内服薬

a. 錠剤
これが一番種類も豊富です。慣れれば投薬も大変ではありませんが、知らぬ間に犬舎の隅に吐き捨ててあったという事例もあるのでご注意を。錠剤は犬の口内に投薬した直後に、スポイトなどで水を飲ませると簡単に飲み込んでくれます。

・ミルベマイシン:フィラリア予防の他に腸内寄生の線虫類を同時に駆除できる。毎月1回投与。
・モキシデックフィラリアの予防のみ。毎月1回投与。※一部サイズのみ取り扱いとなります。
・パナメクチン:
フィラリアの予防のみ。毎月1回投与。※当院での取り扱いはありません。
・ピカシンフィラリアの予防のみ。毎日あるいは隔日投与。予防的には使いにくい薬になっています。
b. 粉末

・ミルベマイシン:※効果は前述のものと同等。
c. チュアブル

肉状で食べやすいタイプの薬。当院で取り扱いのあるものは腸内寄生の線虫類を同時に駆除できるものです。​嗜好性も高く後で吐き出されることも少ないので、確実な予防が期待できます。

2.注射

日本で認可のとれているものは6ヶ月に一度注射をするだけでフィラリアの予防ができるというものです。2001年10月に発売されました。安全性に疑問が残るため、当院での取り扱いはありません。

3.滴下式

上述の会社が2003年に市場に導入した新しいタイプのフィラリア予防薬。毎月1回の投薬でノミも駆虫できるのも特徴。今年発売のものですから、副作用の報告が挙がるまで、採用を見合わせております。(2003年度)

追補

来年度よりミルベマイシンの滴下式薬剤が発売される予定。結構期待はしていますが、やはり安全性が一番気になるところですね。

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