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③不正咬合

歯牙疾患は先天的あるいは外傷をはじめとした後天的なものが原因となることが多く、深刻なうさぎの疾病の1つとしてあげることが出来る。

​​その殆どは臨床症状を呈してから来院することが多いが、最初期であれば治療が可能であることも多いので、早期発見が本症の治療には重要な意味をもつこととなる。

​また、進行した不正咬合がある場合、適切な治療によりQOLを保つことも可能だが、アブセスの発生や涙嚢炎などの2次的な疾患を併発する可能性をオーナーに知らせる必要がある。 ​

●原因

うさぎの歯は常生歯と言い、一生涯にわたって伸び続ける長い歯冠と解放性の歯根の歯を持つ。その門歯は通常1週間2.4mmほど伸長する。健康なうさぎにおいては,上方と下方の歯を咬合させ、お互いの歯をすり減らしている。正常な咬合 と、絶えず伸長する歯の摩耗を妨げることがあれば、過長歯を生じる原因となる。​歯の伸長異常により歯冠は軟部組織の中にまで伸長し、潰瘍あるいは膿瘍を形成する事になる。この状態は不正咬合と呼ばれ、常に何か潜在的な問題により2次的に生じる。

​●臨床症状

採食低下、流涎、湿性皮膚炎、体重減少、ハエ叩き様行動、涙嚢炎、下顎の膿瘍、眼球突出など野菜や干し草などの十分な咀嚼を必要とする食事の採食が困難となる。くわえたものを落とす、口をモゴモゴさせる、流涎がみられるなどの症状は口腔内の異常を示唆するものであるが、腸炎でも同様の症状を呈することがあるのでその鑑別には十分な注意が必要である。

主な原因は次のものが考えられる

1.先天性奇形


a. 下顎前突症(常染色体性劣性遺伝) 
俗に言う「アンダーショット」で,下顎が上顎よりも前方に飛び出ているものです。ドワーフ種やロップイヤーなどで発生頻度が高いと言われている。

b.  顎骨の幅が狭い。

2.後天性

 

a. ​食事性
英国ではカルシウム欠乏やビタミンDの欠乏が原因とされる栄養性骨形成異常という報告があり、我が国ではペレット中心の食生活による咀嚼回数の減少が原因と考えられる。 
b. 外傷性
落下などの事故によって生じた歯や支持骨の骨折 。またはケージなどを噛む悪癖により歯根に歪みが生じた場合など。
c. 感染性 
粉末を固めたようペレットは水分を含むと砕け、歯に付着する。このため、歯髄炎を誘発し易いように感じる。
d. 老化
歯質または骨質の変化。

検査

 

◎問診
食餌の内容、給餌の方法(不断給餌か否か)、食欲の状態など 。シリアルフードを含んだ食事を多給していたりすると、ビタミンD、カルシウムなどの欠乏症により骨の形成異常を引き起こすことが報告されている。ペレット主体の食生活で、野菜や干し草の給餌量が不足している場合も不正咬合を誘発する。現在不正咬合の理由としてはこれが一番多い。これは咀嚼回数の不足がその理由である。うさぎは硬いものを食べることで歯を切削しているわけではなく、咀嚼することで切削していることを忘れてはいけない。不正咬合が存在すると採食が困難となる。

◎視診
1. 門歯の咬合口唇をめくることで咬合の状態は容易に観察可能。
2. 臼歯の咬合(耳鏡を用いて観察)および舌,口腔内軟部組織の損傷の程度。観察が困難な場合は、
うさぎを仰臥位に保定して不動化反射を利用するか、バスタオルにくるむと簡単に出来る。観察時は舌を口腔外に出すか、小型のへらで舌を左右どちらかに寄せると観察が容易となる。また左側の臼歯は右頬側から耳鏡を挿入し、クロスさせるようにすると奥の臼歯まで観察しやすい。
3. 白い目ヤニがでていないか。不正咬合に関連した涙嚢炎の可能性があるため。

◎触診
1. 頬部を外側から触診することにより、スパイク状の臼歯を確認できることがある。
2. 下顎骨腹側縁、あるいは涙骨に沿って触診し膨起がないか。

◎レントゲン撮影
レントゲンの検査はうさぎの歯牙疾患の評価に重要である。レントゲン検査は歯根の状態についての情報を与え、歯冠と口腔の軟部組織を視覚的捕らえることで予後の判定を的確に行える。ラテラル像から多くの有用な情報を得ることが出来るが、左右の下顎骨が重なるような正確なラテラル像は必要ではなく、わずかに斜方からの撮影画像の方がより有益である。DV像は上顎骨に下顎骨が重なるので解釈はより難しくなる。この像は真っ直ぐにしなければならない。歯科用フィルムを用いた口腔内の所見は個々の歯の情報を得るのにより有益な方法ではあるが、歯牙疾患の総合的な評価に必ずしも必要ではない。

不正咬合の治療

 

門歯の過長歯

門歯過伸長の治療を始める前に、過伸長の原因と臼歯の状態の確認をすることが重要である。もし門歯の不正咬合が先天的な下顎の異常が原因となっているのなら、どんなに注意深くそれをトリミングしたとしても、決して適切な咬合を得ることは出来ないからである。

後天性の不正咬合は発見の時期が早ければ、食事の改善と定期的なトリミングにより改善されるケースが多い。しかしニッパなどによる不適切な治療や経過が長期にわたっているものはその修正は困難である。治療前にオーナーと予後と治療費について話し合うことが大切であるが、そのためには正確な予後の判定が必要となる。歯牙疾患を段階で分けた物があるのでそれを利用すると良いかもしれない。(参照)有効な選択肢としての幾つかの治療法がある。爪切りやニッパによる門歯のトリミング現在爪切りやニッパによる治療は行わない。不正咬合を悪化させたり、歯髄を傷つける危険が大きく、いかなる理由があってもこの方法を選択すべきではない。

歯科用機械を用いたトリミング

無麻酔のうさぎに歯科ドリルや歯科鋸を用いて歯をトリミングすることは可能である。シリンジの外套を改良した物や、木製の舌圧子を用いることにより口腔内の軟部組織を保護することができる。ただし暴れて処置出来ないときは、麻酔下の処置に速やかに移行すること。門歯の処置はこの方法がもっとも適している。仰向けにして不動化反射で鎮静をかけて作業が可能である。

 

ダイヤモンドディスクなどでカット・トリミング/鎮静あるいは麻酔下における門歯の整復

これは、口腔内の完全な検査をも容易にする物である。もし咬合が整復されるのであれば歯のトリミングの間隔は長くなるか、あるいは治癒するかもしれない。麻酔下における門歯の外科的摘除この処置は門歯の過伸長の永久的な解決策、あるいは下顎前突症の治療の一つとして用いられる。ただし歯髄は閉鎖していないため相当な出血が予想される。そのため安易に抜歯する事は望ましくない。うさぎは門歯が無くても何とか採食することが出来る。

 

歯根膜を小型のエレベータや18Gの注射針を用いて注意深く根気よく抜歯出来るまで剥離していく。歯が折れる原因となるので抜歯の時は歯をねじらないように注意する。後天性の歯牙疾患のうさぎの場合、歯根部付近でしっかりした骨膜の抵抗を感じ、全摘出は困難である。門歯を抜去する事によりうさぎの歯牙問題が必ずしも解決する訳ではなく、後天性の歯牙疾患がうさぎの臼歯にでるかも知れないことを飼い主に警告することが肝要である。また、抜歯後は繊維含有量の高いペレットに切り替える。

臼歯の過長歯

臼歯の過伸長の治療は、アプローチの難しさから、麻酔下で行われることが望ましい。この処置はリューターや電動(あるいはエア駆動の)歯科器械を用いることで可能となる。長い柄のクリッパーはフックのトリミングに使用できるし、ダイヤモンドヤスリは歯の表面を滑らかに削るためには必要である。

 

治療の目的は正確な咬合を行えるように歯を再調整することであるが、歯根がすでに歪曲しているものは、歯冠がゆがんだまま再生し6〜12週で再びフックを形成するので、常に上手くいくとはいえない。やはり早期発見が肝要となる。臼歯の歯冠が容易に抜け、口腔から取り出すことの出来た症例も幾つかある。こうなると歯の過伸長に関連した問題を起こさないかもしれない。なぜなら第1に互いの後臼歯は正常なうさぎと同様の咬合を得られないということ。第2に歯牙疾患の末期では歯の成長は停止し、歯冠が再び成長する可能性が無いこと。第3に前臼歯及び後臼歯が歪曲している場合、正常な咬合に回復することが決してないということ。

 

以上のことから歯のトリミングに関しては問題が起こりにくくはなるが、歯髄炎の発生のリスクが常にあることを忘れてはいけない。進行性の歯牙疾患をもつ多くのうさぎは、定期的に臼歯のトリミングをする必要がある。歯冠を欠いているかも知れないし、歯は不規則に整列しながらも伸長を続けているかも知れない。そのためには耳鏡を用いて6~8週ごとにフックが発達していないか、頬や舌にダメージを与えていないかを確認することが肝要である。レントゲン検査で骨髄炎や早期の歯根尖周囲の感染を見つけることが出来るかも知れない。歯根尖周囲の感染には抗生剤での治療を行うが、抗生剤の経口投与には十分に考慮すべきである。​

Special Thanks!
症例報告中の病理所見および病理写真提供:山極病理研究所/株式会社ランス/IDEXX Lab.

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